東北大学大学院工学研究科次世代航空機研究センター関係各位 【お知らせ】 「富岳」航空機プロジェクトシンポジウムを開催します.本シンポジウムは,文部科 学省・「富岳」成果創出加速プログラム「航空機フライト試験を代替する近未来型設 計技術の先導的実証研究」課題の最新の研究成果について,航空機メーカーをはじめ とする産業界や大学・研究所などの学術界と共有し,今後の圧縮性LES基盤ソルバー FFVHC-ACE公開を見据え議論することを狙いとしています. 参加ご希望の方は、以下のサイトから事前登録をお願い申し上げます。 開催日:2022年3月23日(水)13:00-17:05(予定)オンライン開催(ZOOM) 「富岳」航空機プロジェクトシンポジウムHP: http://www.klab.mech.tohoku.ac.jp/fugaku/event/symposium/index.html 【本センターに関する論文のご紹介】 [題目] :Propagation of stationary and traveling waves in a leading-edge boundary layer of a swept wing [著者] :Aiko Yakeno and Shigeru Obayashi [雑誌名他(URL等)] :Physics of Fluids, Volume 33, Issue 9, 2021  https://doi.org/10.1063/5.0063936 [概要] :遷音速から超音速域で飛行する航空機の主翼は衝撃波による抵抗を抑える ため後退角を有しているが,そのような後退翼まわりでは流れは三次元化し複雑な遷 移過程を経て乱流化しやすく,摩擦抵抗が増加することが課題である.主翼の50%を 層流状態で維持できれば,航空機全抵抗のおよそ10%を低減できると考えられ,次世 代超音速輸送機において「層流化」は必須の技術の一つになっている.後流域の三次 元境界層では,横流れ不安定による定在波が発生し,流体の安定性理論による解析結 果と一致することが広く知られている.一方,前縁付近での流れは,前述の後流域で の遷移状態に大きな影響を与えるとされるものの,未解明な点が多く残されていた. 例えば,漸近解を仮定する従来の安定性理論と,実際に風洞試験で観察される波の波 長は一致しなかった.さらに,欧米での飛行試験の結果からは,大型の航空機では胴 体で生じる境界層の乱れが主翼前縁部に侵入し,地上の風洞実験では捉えることが難 しい遷移過程が引き起こされる可能性を指摘されていた.そこで本研究では,スー パーコンピュータを用いた超並列計算(1ケースあたり最大3000並列×約200時間)を用 い,高レイノルズ数域で,さらに人工的に遷移を促進する擾乱の与え方を工夫するこ とで,航空機の主翼前縁部で遷移のもとになる二つの波の発生と成長過程の詳細を捉 えることに成功した.これにより,従来風洞実験でも確認されていた定在波だけでな く,後退方向に移流する進行波についても,その発生の詳細を観察することが可能に なった.本研究ではさらに,安定性解析に従来のように漸近解を仮定せず,非直交 モードの重ね合わせによる有限時間でのエネルギー増幅に焦点を当て,各ターゲット 時間に対するエネルギー過渡増幅を算出し,数値計算結果と比較した.その結果,観 察される波は,短い時間で不安定化する非直交モードの最適成長モードと一致するこ とを突き止めた.それにより,後退翼前縁部の遷移のもとになる波の発生は,従来の 漸近的安定性理論ではなく,短い時間でのエネルギー過渡増幅機構に支配される可能 性が高いことを示した.本研究で有効性が確かめられた理論により,流れの遷移のし やすさの簡便な予測法の精度が著しく向上すると期待されるため,将来的にはスー パーコンピュータにたよらない低計算コストな技術開発も可能になると考えられる. 本研究で構築した解析技術は,航空機開発において世界に一歩先んじるために重要な 成果とも言える. ※ 本内容は2021年9月14日付て東北大学と流体科学研究所でプレスリリースされま した https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/09/press20210914-02-waves.html https://www.ifs.tohoku.ac.jp/jpn/news/1750/ 【連絡先】 東北大学 大学院工学研究科 次世代航空機研究センター事務局 〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-01 TEL: 022-795-7998 FAX: 022-795-7998 E-mail secretary-klab【@】tohoku.ac.jp (【】削除してください) URL: http://www.next.mech.tohoku.ac.jp/ (*)本メールへの返信はご遠慮頂き、お問い合わせは上記アドレスにお願いします。